はしか(麻疹)
※疑わしい症状がある場合は、受診する前に必ず医療機関に連絡してください。
極めて感染力の強いウイルス感染症で、致死率も高く非常に危険です。典型的には発熱・咳・鼻水・目の充血・全身の発疹の症状が現れます。予防接種により大幅に危険性を軽減できるため、1歳になったら最優先で接種しましょう。
概要
麻疹(ましん、はしか)は麻疹ウイルスによる非常に感染力の強い急性ウイルス感染症です。典型的には発熱、咳、鼻水、目の充血と全身の発疹が現れます。予防接種の普及により、日本では麻疹患者は激減しましたが、海外からウイルスが持ち込まれることによる散発的な流行が依然みられます。
ワクチンを接種しているお子さんの場合は感染しにくく、もし罹っても重症化する可能性はかなり低くなるため大きな心配はいりません。ただし、ワクチン接種ができていないお子さんの場合は最大限警戒すべきです。
症状と経過
最初の2~4日間は、38℃前後の発熱とかぜ症状(咳、鼻水、倦怠感)、目の充血などが続きます。この時期に口の中のほほの粘膜に小さな白い斑点(コプリック斑)が現れることがあり、麻疹の特徴的な所見です。
一旦熱が下がりかけた後、再び高熱が出て全身に真っ赤な発疹が出現します。この時期には咳・鼻水も悪化します。嘔吐・下痢、腹痛を起こすことも多いです。発疹出現から3日目をピークに、高熱は徐々に解熱に向かい、発疹も4~5日経つと色素沈着を残して消えていきます。
合併症として、肺炎や脳炎などがあり、生命に危険が及ぶこともあり得ます。
潜伏期間
7~21日
治療法
麻疹ウイルスに特効薬はなく、対症療法が中心です。
麻疹患者のケアをする人は、感染予防の観点から麻疹免疫を持つ人が担当し、看病の際はマスク・手洗いを徹底してください。
再受診の目安(必ず保健所へ連絡して受診先を相談してください)
ぐったりするときや意識がおかしいと思うとき
苦しそうな呼吸をするとき
水分摂取すら困難な状態になるとき
その他、医師の指定する症状があったとき
入浴
可能です。
運動
可能ですが許可があるまで絶対に外出してはいけません。
食事
特に制限はありません。
登園・登校の目安
解熱してから3日間経過するまで出席停止です。
予防法
予防接種が最も有効な予防策です。日本では麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)を1歳と年長児の計2回、定期接種で受けます。1回の接種だけでも95%程度、2回の接種で97-99%以上の人が十分な免疫を獲得できます。ワクチン未接種の方で麻疹患者と接触した場合には72時間以内の緊急ワクチン接種が発症予防に有効です。
(周囲で流行してしまっている場合に限り、生後6か月から1歳未満のお子さんも麻疹風疹ワクチンの接種が可能です。その接種は長期的には十分な免疫にならないため、本来のスケジュールの麻疹風疹ワクチンも打ち直す必要があります。)
基本的な手洗いやマスク装着が感染症全般の予防に役立ちます。ただし麻疹は空気感染もするため、防ぐことが難しい面があります。