咳を減らすには
かぜによる咳を大きく減らすのは、実はとても難しいことです。
ひとつの方法で咳を劇的に抑えることはできないため、いくつかの対策を組み合わせながらウイルスが自然におさまるのを待つことが基本になります。
1. 咳の薬
子どもの咳の薬は、大きく分けて以下の2種類があります。
①痰を出しやすくする薬(去痰薬)
②咳そのものを抑える薬(鎮咳薬)
①は鼻水や痰をサラサラにして出しやすくする薬で、痰がからむ咳を和らげることが期待できます。
②の鎮咳薬は中枢に作用して咳を抑える仕組みですが、最近の研究では小児のかぜに対してはあまり効果がないことが分かっており、使用頻度が減っています。
当院では①の去痰薬を中心とした処方を行っていますが、それでも劇的な効果は得られないことが多いです。咳の薬はあくまで補助と考えましょう。
2. はちみつ(1歳未満の子には絶対与えないでください)
はちみつは昔から喉や咳に良い民間療法として知られています。
1歳以上の子どもであれば、小さじ1杯程度のはちみつを舐めさせると、喉が潤って咳が和らぎ、夜ぐっすり眠りやすくなることがあります。
市販の咳止めよりも効果が高いという研究報告もあります。
ただし、はちみつは赤ちゃん(1歳未満)には絶対に与えないでください。1歳未満の乳児に与えると乳児ボツリヌス症を起こすリスクがあり、命に関わる危険があります。
それ以外の年齢では、副作用もほとんどなく手に入りやすいので、咳が辛いときに試してみる価値のあるホームケアです。
目安は「小さじ1杯を1日3回程度」です。
※何かに混ぜても効果はあるようですが、はちみつのトロトロそのものもノドを保護できるため直接舐める方が良いとする意見もあります。
3. 鼻水の吸引
鼻水や鼻づまりが多いかぜのとき、鼻水を吸い取ってあげることは咳を減らす助けになります。
鼻にたまった鼻水が喉にまわると、むせたり咳き込んだりする原因になります。
特に小さいお子さんは自分で上手に鼻をかめないため、電動の鼻吸い器などを使って鼻汁をこまめに吸引してあげると良いでしょう。
鼻の通りが良くなると呼吸がラクになり、夜も眠りやすくなります。中耳炎や副鼻腔炎の予防にもつながり、子どもの辛さを和らげる大切なホームケアです。
お風呂上がりなど鼻水がやわらかくなったタイミングで吸引すると効果的です。
また、薬局などで売っている鼻へ噴霧する生理食塩水との使用もオススメです。
4. 禁煙、加湿、水分補給、姿勢など
家庭でできるほかの工夫として、室内の湿度や温度の調整、十分な水分補給、楽な姿勢の保持などがあります。
〇タバコの煙はあらゆる咳にとって悪影響です。周囲の喫煙による受動喫煙は、子どもの咳がひどくなったり治りにくくなる原因となります。
喫煙者は、できれば禁煙。難しいようでも家庭外で喫煙+帰宅次第着替えるなどの対策は行いましょう(衣服や髪に付着した粒子もこどもに影響を及ぼします)。
〇部屋が乾燥していると喉が刺激されて咳が出やすくなるため、加湿を心がけましょう。
快適に感じる程度(目安として湿度40~60%)に保つと喉に優しい環境になります。
〇水分補給も大切です。のどを潤すことで咳の刺激が和らぎ、痰も出しやすくなります。
冷たい飲み物は刺激になることがあるので、白湯や麦茶などぬるめの飲み物を少量ずつこまめに飲むと良いでしょう。反対にせんべい等の乾いた食べ物や炭酸飲料・酸っぱいジュースは喉を刺激する可能性があります。
〇咳き込んでいるときは、横になるよりも上半身を少し起こした姿勢の方が楽になります。
夜寝るときも、背中の下にクッションやタオルを入れて上体をやや起こすことで、夜間の咳をやわらげることができます。
※貼り薬は「咳止めのテープ」ではありません
貼り薬として「ツロブテロールテープ」が有名ですが、これは喘息の治療薬であり、通常のかぜの咳には効果がありません。
この薬は喘息により気管支が狭くなって息が苦しいときに気管支を拡げる作用があります。喘息に対しては効果が期待できますが、喘息ではない場合の咳には効きません。
「咳止めのテープ」と誤解されがちですが、実際には咳を止める作用はなく、副作用(落ち着きのなさ、脈が速くなるなど)もあるため、風邪による咳には使用しない方がよいとされています。
ちなみにドーピング対象薬です。スポーツの大会に出る方は使用してはいけません。
