手足口病・ヘルパンギーナ
手足口病は手、足、口に発疹が出る感染症、ヘルパンギーナは喉の奥にぶつぶつをつくる感染症です。どちらも夏に流行りやすい傾向があらいます。対症療法が基本で、1週間程度でほとんどが自然に改善します。
概要
手足口病(てあしくちびょう)は、その名のとおり口の中、手のひら、足に発疹が出ることを主症状とするウイルス感染症です。発熱を伴うこともあります。主に夏季に幼児を中心として流行し、大人も罹ることがあります。原因ウイルスはコクサッキーA群やエンテロウイルス71型など複数あり、何度も感染する可能性があります。
ヘルパンギーナは、突然の高熱と喉の奥にできる水疱性の発疹を特徴とします。手足口病の口の中の様子と似ていることも多く、原因ウイルスも似ています。「手足口病の口部分だけバージョン」と捉えてしまっても良いでしょう。
症状と経過
特徴的な症状は、口の中・手のひら・足の裏に現れる小さな水疱性の発疹(ヘルパンギーナは口の中のみ)です。しばしばお尻にもできます。発熱を伴うこともあります。ぶつぶつは痛みやかゆみを伴うことが多くないですが、口の中は痛みが強くなることがあり、幼児では食欲が低下し、水分も摂りにくくなる場合があります。発疹は出始めてから数日のうちに次々と新しいものが現れますが、1週間程度で消えていきます。
潜伏期間
2~5日程度。
治療法
特別な治療薬はなく、対症療法を行います。発疹そのものは自然に治るので、塗り薬などは不要です。口の痛みが強いときは、痛み止め(解熱鎮痛薬)で痛みを和らげます。基本的には自宅で安静にし、体力の回復を待ちます。まれに合併症が疑われるとき(頭痛がひどい、ぐったりして反応が鈍い等)は早めに受診し、必要に応じて入院治療を受けます。
再受診の目安
口が痛くて水分が摂れない状況が続くとき
発熱が4-5日以上続くとき
ぐったりしているときは再度受診しましょう。
入浴
可能ですが、家族とタオルは共有しないようにしましょう。
運動
可能です。
食事
食べられればいつも通りでかまいませんが、口の中が痛くて食事がとれない場合、柔らかく刺激の少ない食事(おかゆやスープ、ゼリーなど)を工夫し、脱水にならないよう少しずつでも水分を摂らせることが大切です。
予防法
予防には日常的な感染対策が重要です。もちろん基本は手洗いとマスクです。手足口病やヘルパンギーナは飛沫感染だけでなく便にもウイルスが排泄されます。発疹が治った後も便中に3~4週間ウイルスが出ることがあるため、おむつ処理の後はしっかり手を洗いましょう。
尚、アルコール消毒はこのウイルスには効きにくいので、手の付着は手洗いを、物の付着には次亜塩素酸を用いて除菌します。
登園・登校の目安
ぶつぶつがあっても熱がなく元気で、ふだんの食事がとれていれば登園・登校は可能です。
※ただし園や学校の独自のルールがある場合もあります。